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プロジェクト hb号 #1 (鈑金修理編)

旧車―。

所有する事自体をステイタスとしてガレージなどで大事に飾る、保管する楽しみ方。
たまに天気の良い週末などには、当時の雰囲気を感じつつ近所を優雅にドライブ。
恋人や友人、家族やはたまた孫を乗せたりすることも。きっと良い休日になる事だろう。



または、昭和のスタイルに惚れ込み、日常の愛車として生活に溶け込ませる楽しみ方。 
通勤はもちろん、ちょっとタバコを買いに、暖機もそこそこにアシとしてもガンガン使う。
同じ排気量、似た趣向・雰囲気を持つクルマが横にならぶと、つい競争意識がうずく事も・・・ 

価値観で左右されるディープな趣味の世界だし、どちらが正しいとかいう話ではないが、
どちらかと言えば、このブログを覗いてくれている方には後者が多いような気もする。




しかし、そうやって交通社会の中においてクルマを日常のアシとして使う中で
旧車も現行車も関係なく必ずついて回るのが、交通事故のリスク。
いくらこちらが安全運転を心掛けていたとしても、一方的なもらい事故というケースも。
こればかりは防ぎようがない。



幸い今では、旧車であっても保険会社がある程度の市場価格を考慮する傾向にあり、
ひと昔前のように新車価格の10分の1以上の修理代は出せないなどという事はまず無い。
(例えばハコスカRの新車価格が150万だと修理代の上限が15万という時期があった)



とは言え。
価格、修理代金のほうはクリア出来ても、旧車の修理で困る点がもうひとつ。
そう、部品の供給である。

例えば今回のような当たり方をした場合、作業時間や仕上がり面を考慮すると、
望ましい作業はやはりクォーターパネルとバックパネルの交換。
がしかし、当然そんな純正の外板パーツはとうに生産廃止。入手不可能である。

ならばどうするか。

 


今ある鉄板の変形した部分を当て板とハンマーで叩き、成形し、形を整える。
伸びた鉄板は絞り、使えない部分は新しい鉄板から切り出して溶接作業をする。
そういった作業を繰り返し、少しづつ鈑金し元の形に近づけていく。 




 

携帯電話、ゲーム機、パソコン。

進化が著しいのはなにもデジタル機器だけではなく、鈑金の現場で使われるパテも然り。
以前のパテ・・・特にポリパテの類は、すぐ痩せ、巣穴も出来やすく
密着性も乏しかったので とても厚塗りが出来るシロモノではなく、
鈑金パテを盛る前にまずは地道に鈑金作業をするのが普通だった。



が、しかし。
進化した今のポリパテは、厚盛りなんてヘッチャラ。密着性もいい。
やりようでは1センチ以上は軽く盛れる。

現行車なら、それもいいかも知れない。単なるツールとして使うクルマであれば、
そこそこキレイに仕上がって10万?までもって、それで工賃も安ければお客さんも嬉しい。
ユーザーの要望と実際の作業とのサジ加減、バランスが合致するなら悪い事ではない。



しかし、である。旧車でそれをやられると、どうか。

現行車に比べて格段にサビやすい旧車のヘコんだパネルやサビ始めた部分に
ろくに防錆もしないままパテを盛られ塗装され、一見キレイに仕上げられると・・・
ご想像のように、厚いパテの下で知らぬ間に見えない間にサビはどんどん進行する。



サビは、ガン細胞と同じ。早期発見・早期治療が肝要。

理屈と経験でそれを充分に理解しつつも、目先の利益・作業効率を優先するあまり
まさに臭いモノにフタ、サビをパテで覆って知らんぷりしてしまう業者のなんと多い事か。
サビと一緒に良心までもパテで覆い隠してしまえるのは、旧車好きとは言えない。 

・・・そして、また今日もどこかの店頭に、パッと見はキレイな旧車が並ぶ。

 

厚盛りパテの進化は、現在の自動車鈑金技術の向上にも影を落とす。

燃費向上=エコを背景・命題として開発されている現行車のボディは
薄くて強い鉄板・・・鋼を主材にした、鈑金の非常に困難な高張力鋼板が使われている。 
作業効率、利益を考えたら、当然そんな手間のかかる鈑金よりも、厚盛りパテで済ませる。
今後はそれが主流になっていくのは、目に見えている。

とは言え、自動車業界に限らず景気の先行きなど全く見えてこないこの冬の時代。
もうとっくに、キレイゴトでは成り立たなくなっているのが現実なのかも知れない・・・ 

\                                            /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       / ____ヽ           /  ̄   ̄ \
       |  | /, −、, -、l           /、          ヽ
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   , ―-、 (6  _ー っ-´、}         q -´ 二 ヽ      | うんうん
   | -⊂) \ ヽ_  ̄ ̄ノノ          ノ_/ー  |     |
    | ̄ ̄|/ (_ ∧ ̄ / 、 \        \     |      /
    ヽ  ` ,.|     ̄  |  |         O===== |
      `− ´ |       | _|        /          |
         |       (t  )       /    /      |


 >>塗装・完成編へ続く

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コメント

高い金だして買ったピカピカの車が、実はパテ盛りまくりでパテの下はサビ・腐りだらけなんて洒落にならないですからね(_´Д`)ノ
車買うときが不安ですm(__)m

以前ジャッキかけたら、パテがぽろっと・・・・
それ以来洗車の度にストレスになっていた部分だったので、こんなに完璧にしてもらえて涙が出るほど感動しています!!ありがとうございま〜す!

Re:

>IBKちゃん
こればかりは運だし縁だし。多少はパテ盛りはあって当たり前さ。
パテ盛られまくりの部分まで愛してやってこそ愛車ってなモンです。
チマチマと時間かけて少しづつ直してやれば愛着もひとしおΣd(ゝc_,・*)

>hakoburuburuさん
そう言ってもらえると、鉄板の切り粉や溶接のスパッタと戦った甲斐があります(笑)
とは言え旧車ってジャッキはこの部分よりもメンバーの方が無難かもですよね・・・。
今夜は今からまた元のベタシャコ状態を復元して(笑)、ちょっと試乗に行ってみよっと。

お久しぶりです!
私の510も現在復活に向けて入庫中です。

幕さんやSTさん、GFさんのような車高は低いけど意識や技術の高い鈑金屋さんが身近にいると思うと心強いです。

マジRespect!

あの角の硬いところを出しますか
ほんまに鈑金凄いですね また、3台まとめて・・・・(凄)
イエローマジック号はやってる間が無いですね

あ!画像すんません頂きました(ペコリ)

ここ最近、哲学的な文章がちらほら...
ベタシャコで満足する人種(失礼)だったのにどしたの?

...と思って読んでたら最後で台無し(笑)
怒涛の3台仕上げ、お疲れさんです (^^)

Re:

>MG510さん
うおー!MGサンご無沙汰っす!
車高の低さも技術の高さも、STさん・GFさんには遠く及ばないッス。
っつーかMGさんの行動の早さこそマジRespectッスよ!
あと、自分の体は自分で治しちゃうあたりもマジRespect(笑)

>まいど510さん
今ドキの車に比べたら、なんかけっこう形を出すのはアッサリですた。
大人の事情というか、保険の事情で見せられないアングルもあるのは内緒(笑)
イエローマジック号は部品取り街道まっしぐら・・・直さなきゃ!来年中には!ww

Re:

>Y.K Roomさん
よかった、そこ誰もツッコんでくれなかったらどうしようと思ってた(笑)
オイラが尊敬するある超有名な鈑金屋さんのHPがこんな感じの哲学というかポエム調で
前からちょっとパクッてみたかったんです。気が済んだ\(^o^)/

てかこの場を借りてカミングアウトしちゃうと、最後の一台は間に合いそうにありません(汗)

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富士山の麓で小さな自動車鈑金屋を営む一児のパパ。愛車はDATSUN510ブルーバード、黄色。

趣味や日常を綴ったチラシの裏的なグダグダブログです。気が向いた時にでも生温かく見守っていただければ幸いかも。


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